大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和48(オ)671 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を東京高等裁判所に差し戻す。

理 由

上告代理人相沢岩雄、同小谷野三郎、同中村巌、同鳥越溥、同中島喜久江、同吉

永満夫、同藍谷邦雄の上告理由第一点について。

所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして肯認しえ

ないものではなく、その過程に所論の違法は認められない。論旨は、ひつきよう、

原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用す

ることができない。

同第二点について。

原判決が引用する第一審判決によれば、上告人が、「スキー場においては、負傷

者が出ることは当然予測されるところであるから、ゲレンデの管理者は、適当な救

護施設を完備して人命の救護に当るべき注意義務があるというべきである。しかる

に被告または促進会は、本件ゲレンデにおいて監視員によるパトロールも行わず、

負傷者を護送すべき担架あるいはスノーボートすら用意せず、独自の救護施設を設

置しなかつたのは勿論のこと、付近にある救護施設の場所すら明示していなかつた。

右の如き注意義務違反による救護施設の不備のため、本件事故による受傷後の洋治

郎に対する救護措置が遅延し、よつて、同人は、出血多量のため死亡したものであ

る」と主張していることが、明らかである。そして、スキー・ロープ・トウ等を設

置しスキー滑走場を開設している者又はこれを管理すべき立場にある者は、当該ス

キー滑走場においてスキー事故によつて受傷した者に対し、スキー滑走場の危険度、

過去の事故数・その程度、来場するスキーヤーの能力、スキー事故の態様、状況等

の具体的事情いかんによつては、これに対応する救護義務を負い、この義務を懈怠

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したときには民法七〇九条により不法行為責任を負うべき場合もあるというべきで

ある。しかるに、原判決は、右主張の当否については、なんら判断を示していない。

したがつて、原判決には判断遺脱、理由不備の違法があるから、論旨は理由があり、

原判決は破棄を免れない。そして、右主張については更に審理を尽す必要があるか

ら、本件を原審に差し戻すのが相当である。

よつて、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決す

る。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 坂 本 吉 勝

裁判官 関 根 小 郷

裁判官 天 野 武 一

裁判官 江 里 口 清 雄

裁判官 高 辻 正 己

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